赤羽昼飲み完全ガイド!せんべろ聖地と裏路地を巡る極上ハシゴ酒
赤羽 飲みの醍醐味は、改札を一歩抜けた瞬間に五感を揺さぶる猥雑で濃密な熱気にある。東日本旅客鉄道(JR東日本)赤羽駅の東口へ降り立てば、まだ陽光が高い昼前だというのに、あちこちからグラスが触れ合う澄んだ音と気取らない笑い声が風に乗って漂ってくる。ここは東京の北端にして、昭和の情情緒と令和のダイナミズムが奇跡的な均衡で同居する酒飲みのオアシスだ。
平日の喧騒を忘れ、週末にふらりと訪れた一見客も、何十年とカウンターの隅を定位置にしてきた古参の常連も、ここでは肩書きを捨てて隣り合う。そんな分け隔てのない空気感こそが、人々を赤羽 飲みの底なし沼へと引きずり込む最大の魔力だ。時代がどれほど移り変わろうと、労働者たちの渇きを癒やし続けてきたこの街の路地裏には、今も温かい人情とグラスの泡が絶え間なく湧き出している。
朝から熱気渦巻く赤羽一番街商店街と駅前のリアル
東口のロータリーを抜けると、巨大な赤いゲートを構えた赤羽一番街商店街が視界に飛び込んでくる。色鮮やかな看板がひしめき、昼夜の境目を曖昧にするネオンが灯るこの通りは、まさに呑兵衛たちの目抜き通り。平日・休日を問わず、朝10時を回る頃にはすでにシャッターを開けた酒場が次々と客を迎え入れる。
かつてこの界隈は、都心へ向かう工場労働者や市場関係者が夜勤明けに一杯ひっかける場所として発展した。その歴史的背景が、現在の「昼飲み」カルチャーの盤石な土台を築いている。時計の針を気にせず、明るいうちからビールを煽る背徳感は、ここ赤羽では無縁だ。むしろ、午前中から心地よく酔いしれることこそが、この街が誇るべき日常の景色なのである。
【決定版取材】せんべろ聖地で失敗しない名店と地元民が愛す裏路地ルート
赤羽を初めて訪れる者が圧倒されるのが、店舗の密度の高さと独自のローカルルールだ。予算千円前後でしっかり酔える「せんべろ」の聖地として名高いが、行き当たりばったりでは真髄に触れられない。そこで本誌が独自取材を敢行し、失敗知らずの王道ハシゴ酒ルートを組み立てた。
鉄則は「一軒に長居しすぎないこと」。まず1軒目で名物の一品とハイボールをサッと流し込み、2軒目で立ち飲みの熱気に飛び込み、3軒目で裏路地の静かなカウンターに身を寄せる。特に一番街から一本折れた「シルクロード」などの横丁には、地元民が静かに杯を傾ける知る人ぞ知る大衆居酒屋が潜んでいる。チェーン店では決して味わえない、手作りの煮込みや旬の小鉢をアテにすれば、赤羽の夜はどこまでも深まっていく。
出汁割りに溺れる丸健水産と立ち飲みいこい本店の流儀
赤羽の食文化を語る上で絶対に外せないのが、アーケード内に店を構える丸健水産だ。湯気を立ち上らせる巨大なおでん鍋の前に立ち、名物の「はんぺん」や「牛すじ」を注文する。そして、名物の地酒カップを半分ほど飲んだところでカウンターの店員に差し出すと、熱々のおでん出汁と七味唐辛子を注いでくれる「出汁割り」が完成する。魚介の旨味とアルコールが喉を焼きながら胃腑へと染み渡る感覚は、まさに至福の瞬間だ。
そこから歩いてすぐの場所に鎮座するのが、立ち飲みいこい 本店である。都内の立ち飲み文化を牽引してきたこの名城では、カウンターの小皿に現金を置いておくキャッシュオンデリバリーが流儀。百円台から揃う驚愕の小鉢メニューと、手際よく酒を注ぐ店員の無駄のない所作。安さと旨さ、そして凛とした緊張感が心地よいリズムを生み出している。
ジャン酎と鯉こくに酔う「まるます家」が紡いできた大衆居酒屋の歴史
朝9時の開店と同時に長蛇の列ができるのが、鯉とうなぎのまるます家 総本店だ。店頭で香ばしく焼き上げられる鰻の蒲焼きと、鮮度抜群の鯉のあらい。川魚料理を看板に掲げるこの老舗は、呑兵衛たちの巡礼地として世代を超えて愛され続けている。
名物は通称「ジャン酎」と呼ばれる1リットルの特大ボトル入りハイリキ。これに生のライムやミントを絞り入れて楽しむモヒート風の飲み方が定番だ。「酒類は1人3杯まで」という厳格なハウスルールが存在するのも、すべては訪れる客が心地よく、美しく酔うための配慮。節度を守りながら美味に舌鼓を打つ大人たちの姿に、本物の大衆文化の矜持を見る。
清野とおる作品からサブカルの聖地へ!メディアが捉えたディープな変遷
赤羽の独特な魅力が全国区に知れ渡ったきっかけの一つが、漫画家・清野とおるの描いたルポ漫画である。奇奇怪怪でありながらどこか愛おしい街の住人たちや、一筋縄ではいかない飲食店のディープな生態がリアルに描かれ、サブカルチャー好きの若者たちを強烈に惹きつけた。
さらに、テレビ東京が制作したドキュメンタリードラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』の放映によってその熱狂は決定的なものとなった。画面越しに伝わる路地裏の妖しい空気感と人間の生々しさに魅了された人々が次々と聖地巡礼に訪れ、赤羽は単なる下町の飲み屋街から、東京を代表するカルチャースポットへと進化を遂げたのである。
食べログの数字では測れない角打ちの温もりと飲食業の新潮流
ネット上の情報や食べログの高得点だけを頼りに店を選ぶと、この街の本当の面白さを見落とすことになる。酒屋の一角で酒を飲ませる伝統的な「角打ち」スタイルを残す酒販店では、乾き物をつまみながら店主と世間話を交わす贅沢な時間が流れている。デジタルの星の数では決して可視化できない人情の温もりこそが、赤羽の真価だ。
現在、日本の飲食業は原材料高騰や人手不足といった構造的転換期に直面している。しかし、赤羽の酒場たちが守り抜いてきた「安くて旨く、誰もが笑顔になれる場所」というシンプルな原点は揺るがない。新しいクラフトビールバーやモダンなバルが参入しつつも、歴史ある赤提灯と共存共栄を果たすこの街の懐の深さ。赤羽のハシゴ酒は、訪れるたびに新しい発見と生きる活力を与えてくれる。 (出典: 赤羽 飲み(Yahoo!ニュース))